2024年11月

Shortlinks

ドイツ連邦教育研究省、地球環境変動・学術諮問委員会の第9期委員を任命(11月1日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)は、地球環境変動に関する学術諮問委員会(Wissenschaftlichen Beirats der Bundesregierung Globale Umweltveränderungen :WBGU)の第9期委員を任命した。この諮問委員会は、1992年にリオで開催された環境と開発に関する国連の会議の前に設立された独立した諮問委員会で、地球規模の環境、開発問題の分析と政策提言を行っている。シュタルク=ヴァッツィンガー連邦教育研究大臣は、グローバル課題の解決に不可欠と強調し、教育の役割 に期待を寄せた。シュテッフィ・レムケ連邦環境大臣は、気候変動・生物多様性喪失・環境汚染の「三重危機」 に対応するため、科学的知見に基づく政策の重要性を強調し、WBGUの提言に期待を示した。

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フンボルト財団奨学金制度をより柔軟性に。 (11月1日)

フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung:AvH)は、現代および未来の奨学生が直面する経済的、社会的な影響やニーズに合わせ、制度方針を改訂し、より柔軟なものにしている。2024年には、国際的な研究経歴、出身国と受入国の社会経済的な格差、個人の生活環境などを考慮した新たな奨学金制度が導入された。奨学金の増額や柔軟な研究滞在方法に加え、障がいや慢性疾患を持つ受給者への追加支援の提供、未婚のパートナー関係にある者への家族手当の支給など、新たな規定により、より多くの人が奨学金を受けられる体制が整えられた。

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シュタルク=ヴァッツィンガー連邦教育研究大臣:ドイツ技術移転・イノベーション機構(Deutschen Agentur für Transfer und Innovation :DATI)は、研究とイノベーションの拠点を強化する (11月6日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)は、閣議で、連邦教育研究大臣が提案したドイツ技術移転・イノベーション機構(Deutschen Agentur für Transfer und Innovation :DATI)設立を閣議決定した。シュタルク=ヴァッツィンガー大臣は、DATIは、研究成果をより迅速かつ効果的に実用化する役割を担うことを説明し、現在の課題として、優れた研究成果が十分に活用されていない点を指摘し、DATIがその障害を取り除き、新たな技術移転文化を創出することを強調した。これにより、ドイツのイノベーション力を高め、経済・社会への貢献を促進することが期待される。

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HRK会長、連邦政府の現在の与党連立終了に関してコメント (11月7日)

大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz :HRK)のウォルター・ローゼンタール会長は、これまでドイツ社会民主党(SPD)、ドイツ自由民主党(FDP)、および緑の党(Bündnis 90/Die Grünen)によって支えられていた連立政権の終了について「国内外で多くの課題がある中、教育と研究政策において迅速な対応が必要であり、新たな政府が成立するまで、特に連邦教育研究省(BMBF)の仕事において明確な方向性を示すことが求められる。具体的には、大学側は持続可能な大学の推進は評価される一方、デジタル化支援プログラムや連邦教育支援法(BAföG)の改革など重要な施策が未達成であることを問題視している。ドイツ技術移転・イノベーション機構(DATI)も予算承認待ちの状態である。今後、大学施設整備における連邦政府の役割も見直し、BMBFは研究者への信頼回復に取り組む必要がある。」と見解を述べた。

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ドイツ義務教育8年生の情報リテラシーは国際平均を上回るも課題残る (11月12日)

「国際コンピューター・情報リテラシー調査(ICILS 2023)」 によると、ドイツの義務教育8年生におけるコンピューターや情報リテラシー能力は、国際平均を上回っているもの前回調査より低下したことが明らかになった。一方で、学校の技術設備は過去10年間で大幅に向上し、教員によるデジタルメディア活用も増加した。しかし、トップレベルの成績を収める生徒は少なく、およそ40%が基本的な知識しか持っておらず、この能力は、学校の種類、社会的背景や移民、言語のバックグラウンドによって格差が大きいことが判明した。本調査は、義務教育8年生のコンピューターおよび情報リテラシーに関する能力を国際的に比較のため、2013年から5年ごとに実施され、今回が3回目の調査である。

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デジタルパクト・シューレの進捗報告会、デジタル教育インフラの改善成果を評価 (11月12日)

2024年11月12日から13日にかけて、「デジタルパクト・シューレ(DigitalPakt Schule)」の進捗報告会がオンライン及び対面ではベルリンで開催され、初めて評価結果が発表された。チェム・オズデミール連邦教育研究大臣は、ドイツのほぼ全ての学校が情報教育インフラの改善で成果を述べる一方、改善が遅れたことへの反省を表明した。しかし、デジタルパクト2.0の必要性を強調し、「インフラ設備の改善だけでなく、デジタル教育の総合的な構想を進めるべき」と述べた。デジタルパクト・シューレは、連邦政府と州政府が共同でデジタル変革の基盤を築き、地域的、州全体、または州間で教育インフラを整備する取り組みで、約49億ユーロが学校の教育インフラ整備に投資されており、現在、約30,000の学校が恩恵を受けている。

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地政学的分極化の時代における安全保障関連研究 – レオポルディナとDFGの共同委員会が第5報告書を提出 (11月13日)

「安全保障に関連する研究」の取り扱いについて、ドイツ国立科学アカデミー(Leopoldina)とドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)の共同委員会は、報告書「地政学的極化の時代における科学の自由と安全保障の利益」を発表した。病原菌や生成的人工知能に関する研究は、「二重用途研究」として、悪用される可能性のある技術や製品を生み出すことがある。報告書は、国家安全保障が高まる中で、科学研究が政治的な影響を受ける可能性と、国際的な科学協力の制限の危険性を指摘している。また、安全保障に関わる研究が悪用される可能性のある分野を紹介し、過去数年間に倫理委員会が審議した事例も報告されている。さらに、委員会は今後、安全保障に関連する倫理的な側面を研究や教育に組み込むことを進めていく。

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DFG、12の新しい研究指導グループへの資金提供 (11月13日)

ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、若手研究者への支援を強化するため、12の新しい研究指導グループを設立することを決定した。これらグループは、2025年10月から5年間で約8200万ユーロの資金を受け取り、陽子線治療、気候データ、移動権など多岐にわたる研究テーマのグループが含まれている。この中には、韓国との国際共同研究グループ(IRTG)も含まれている。また、5つの既存のユニットへの資金提供延長も決定された。現在216の研究指導グループがDFGの支援を受けている。

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ボツワナでの会議:DFG、サハラ以南のアフリカへの関与を拡大 (11月18日)

ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、南アフリカの国立研究財団(National Research Foundation:NRF)との協力拡大し、サハラ以南アフリカ17カ国の研究機関とのネットワークが強化することを確認した。ドイツとアフリカの共同研究プロジェクトがさらに促進され、ドイツの科学界とアフリカの研究者とのネットワークが強化される予定である。この取り組みは、2015年に研究と証拠に基づいた政策を通じて地域の経済的および社会的発展を強化するために、各国の資金提供構造を拡充すること目的に設立された、現在17のサハラ以南アフリカの研究資金提供機関から成るイサイエンス・グラント・カウンシル・イニシアティブ(Science Granting Councils Initiative in sub-Saharan Africa:SGCI)の一環として進められる。また、SGCI年次会議に続いて開催された、グローバル・リサーチ・カウンシル(Global Research Council:GRC)の地域会議では、人工知能時代における研究管理や、気候変動などのグローバルな課題解決における協力の形態が議題となり、地域間での対話の重要性が強調された。

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人間と機械:人工知能が私たちをどのように変えるのか (11月19日)

人工知能(AI)の影響を議論するイベント「人間と機械 – 人工知能が私たちをどのように変えるか」が、11月26日にボンの連邦美術館で開催される。パネリストにはAI研究のエリザベート・アンドレー教授、哲学者のサブリア・デイビッド氏、AI倫理学のヴィンセント・C・ミュラー教授が参加し、AIが社会や仕事に与える影響を、様々な視点から解説する。このイベントは、人工知能(AI)が日常生活や労働環境に与える影響をテーマにした討論会である「Enter Science」シリーズの一環であり、一般市民と専門家が対話する場として、学生や研修生は無料で参加できる。

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HRK: 反ユダヤ主義と戦いにおける学問の自由と大学の自治を守る (11月20日)

大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz :HRK)のチュービンゲンで開催された総会で、反ユダヤ主義に反対する大学の取り組みが再確認し、また、ドイツ連邦議会がユダヤ人の生活の保護に取り組み、大学やHRKの努力を認めていることを歓迎した。一方、現在検討されている大学独自の決議が学問の自由や大学の自治を損なう可能性があることについて懸念が示された。HRKのウォルター・ローゼンタール会長は、研究助成における制限や干渉が起こるリスクを指摘し、学問の自由が大学の活動の基盤であることを強調した。

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DFGが7つの新しい特別研究領域を支援 (11月27日)

ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、大学でのトップレベルの研究をさらに強化するために、2025年4月から7つの新しい特別研究領域(Sonderforschungsbereiche :SFB)を設立し、約9200万ユーロを支援することを決定した。また、23の特別研究領域の支援延長も決定した。特別研究領域は革新的で長期的な研究を推進し、大学の重点分野形成を支援する制度で、最大12年間の支援が可能である。2025年4月以降、DFGは合計263の研究ユニットを支援する予定である。

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DFGが「2024年版資金アトラス」を発表:ドイツの研究資金に関する最も包括的なデータを提供 (11月27日)

ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は2024年11月25日、「2024年版資金アトラス」を発表した。このデータ集は、公共研究資金に関する最も包括的なデータ集であり、1997年から3年ごとに発行されている。最新のアトラスは2020年から2022年のデータをカバーしており、特に大学の基礎資金と競争的な外部資金の関係に注目している。2022年、大学が受け取った基礎資金は約267億ユーロ(2019年比12.9%増)、外部資金は約104億ユーロ(同19.1%増)であった。しかし、DFGのカティア・ベッカー会長は、この増加では大学が国際競争力を維持するには不十分であり、特に外部資金の増加率が基礎資金を上回ったことに懸念を示し、「大学の競争力と研究全体の発展には安定した基礎資金が不可欠である」と強調した。

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学生数の増加傾向―大学は教育システムの安定要素である (11月28日)

大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz :HRK)のウォルター・ローゼンタール会長は、2024/25年冬学期の学生数に関する連邦統計局のデータを踏まえ、ドイツの大学には290万人の学生が在籍し、前年よりわずかに増加して安定した高水準を維持している発表した。新入生数も48万8,000人と前年より1.3%増加し、2020年に近い水準まで回復した。今後9年間制のギムナジウムへの移行に伴う卒業生数の減少により新規入学者数が一時的に減少すると予想されるが、2027年以降は再び増加に転じ、2035年には現在の水準を上回る見込みである。ローゼンタール会長は、「大学がドイツの教育システムの安定要素である」と強調し、政府の支援継続を求めた。

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チェム・オズデミール連邦教育研究大臣がBMBFの新しい指導体制を発表 (11月28日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)のチェム・オズデミール連邦教育研究大臣は、シュテファン・エルトナー氏とカール=ウーゲン・フートマッハー氏を新たな事務次官に任命した。これに伴い、ローランド・フィリッピ氏とユディス・ピルシャー氏は退職し、農業・食糧省(BMEL)の議会事務次官であるクラウディア・ミューラー氏が連邦教育研究省の事務次官を兼任することになった。オズデミール大臣は、今後数週間の中心的な課題として、省内の進行中のプロジェクトを推進し、科学機関との密接な連携を図るとともに、予算の不確実性による影響を避けることが挙げた。新任のエルトナー氏とフートマッハー氏は行政や研究分野での豊富な経験を持ち、ミューラー氏は政治的手腕と適切で信頼できる妥協点を見つけることができる能力が評価されている。退任するフィリッピ氏とピルシャー氏にも感謝の意が示された。

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チェム・オズデミール連邦教育研究大臣:ドイツ未来賞、BMBF支援のスマートLED技術開発を評価 (11月28日)

「ドイツ未来賞– 連邦大統領賞(技術とイノベーションのための賞)」が、フランク=ヴァルター・シュタインマイヤー連邦大統領によってベルリンで授与された。2024年の受賞者は、ノルウィン・フォン・マルム博士、ステファン・グレッチ氏、ヘルマン・オッパーマン博士を中心とするチームで、彼らのインテリジェントLED技術の研究により、小型で効率的かつ精度の高いヘッドライトを開発が可能になり、道路交通の安全性向上に貢献する技術である。チェム・オズデミール連邦教育研究大臣は、受賞者の開発技術の革新性を称賛するとともに、「研究と開発がドイツの未来にとって不可欠であり、政府の重要技術の研究促進がこの成功に貢献できたことを非常に嬉しく思う。ドイツが今後もグローバルな競争で中心的な技術分野で先頭を走り続けるために、ドイツの技術的主権をさらに強化し、今後も「Made in Germany」の革新的な発明へ当該賞を授与したい」と述べた。この賞は、1997年以来、革新的な技術や製品を称えるドイツで最も重要なイノベーション賞で、今回の受賞技術は、連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)のフォトニクス支援プログラムの一環として、2013年から2016年にかけて約700万ユーロの支援を受けた共同プロジェクト「µ-AFS」の成果である。このプロジェクトには、フラウンホーファーIZMやams-OSRAMをはじめとする企業や研究機関が参加した。

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トーマス・ニコラウス氏、フォン・カーヴェン名誉賞を受賞 (11月29日)

ミュンスター大学の数学者トーマス・ニコラウス教授が、ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)の「フォン・カーヴェン名誉賞」を受賞が決定した。この賞は優れた研究成果を挙げた数学者に贈られるもので、授賞式は2024年12月6日にエアランゲンで開催される。ニコラウス教授は、トポロジーと代数学の交差領域であるホモトピー理論とK理論を研究し、国際的に高い評価を受けている。フォン・カーヴェン賞は、2004年に数学者ヘルベルト・フォン・カーヴェン博士がDFGと共同で設立した基金から提供される賞で、数学の分野で卓越した研究成果を上げた研究者に贈られる。

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