2024年12月

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HRK、競争力強化に向けたEUの検討を歓迎する一方、研究助成プログラム廃止の可能性に懸念を示す(12月3日)

大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz :HRK)は、EUが競争力強化を目指して進めている研究支援改革の検討を歓迎する一方で、EU委員会が2028年から現行の研究助成プログラム(HORIZON Europe)のの再編を検討していることに懸念を表明した。HRKは、欧州研究評議会(European Research Council:ERC)の資金増額を指示するが、長年の実績を持つ研究助成プログラムの廃止案には批判的であり、基礎研究から応用研究までの幅広い支援の必要性を強調し、テーマに制限なく広くアクセス可能であり、科学的優秀性に基づく競争的な研究助成プログラムの維持の重要性を強調した。

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パンデミックにもかかわらず、初等教育では数学と理科の成績を維持(12月4日)

2023年のTIMSS調査(国際的な数学・理科学習の動向)によると、ドイツの小学校4年生は、2019年と比較すると数学と理科の成績が安定しており、2020年・2021年のパンデミックによる学校運営の制約の影響を大きく受けていないことが判明した。数学では、ドイツは2015年・2019年と同様に総合ランキングの中位に位置しているが、長期的な傾向を見ると、数学の成績には変化がないものの、理科では2007年以降、やや低下傾向が見られる。また、両科目において、社会経済的な背景と学力には強い関係があることがわかり、特に移民背景を持つ生徒との成績差が問題になっている。教育関係者は、パンデミック後の学校閉鎖期間中に尽力した教師たちを称賛し、教育システムの公平性を高める必要性を強調している。さらに、教師の支援を強化するための施策が進められており、特に情報教育やMINT(数学・情報科学・自然科学・工学)分野への取り組みが強化されている。TIMSS は、2007年以降4年ごとに世界の小学4年生を対象に数学・理科の学力を測定している国際調査であり、今回の結果もその一環として発表された。

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オズデミール大臣/パウス大臣:全日制教育の国内展開の拡大 (12月4日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)は、全日制教育・保育の拡充状況に関する第2次報告書を承認した。現在、約180万人の小学生が全日制教育や学童保育を利用しており、前年より13万人増加している。小学校の73%が全日制教育を提供しており、着実に拡大が進んでいる。チェム・オズデミール連邦教育研究大臣は、「質の高い学童保育が教育の機会均等に繋がる」と強調し、プログラム開発と専門家の育成を進める方針を示した。リサ・パウス家族・高齢者・女性・青少年大臣は、「全日制教育が社会的格差を縮小し、母親の就業支援にも繋がる」と述べた。政府は、教育インフラの拡充のために3億5千万ユーロを投入し、さらに州への支援を強化する計画である。

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アイデアの宝庫:ベルリンで初のフンボルト・ハッカソン開催 (12月9日)

フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung:AvH)は、「世界中の多様な知恵を結集する」をテーマのもと、初めてのフンボルト・ハッカソンをベルリンで開催した。このイベントには20カ国以上から約40名の参加者と7名のメンターが集まり、フンボルトネットワークの最大の可能性を発揮し、社会、市民活動、政治、経済、そして科学・学問の分野でどのように違いを生み出すことができるかについて議論を交わした。2日間にわたるハッカソンでは、フェミニスト外交政策に基づく包摂的ネットワークの提案や、スタートアップ科学者の支援、CO2排出量を記録するポイントシステムなど、革新的なアイデアが次々に生まれた。最優秀プロジェクトには「Humboldt Connect」が選ばれ、15,000ユーロの資金が授与された。イベントの成果は財団の今後のプログラム開発に活かされる予定である。

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オズデミール大臣/シュトライヒェルト=クリヴォット大臣:基礎学力は社会参加と雇用適性に不可欠 (12月10日)

ドイツの成人は、読解力、数学の能力、問題解決能力の分野でOECD平均を上回っている。国際成人力調査2023(Programme for the International Assessment of Adult Competencies 2023: PIAAC 2023) の結果を受け、連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)のチェム・オズデミール連邦教育研究大臣は、「教育は社会への参加や就職の可能性を広げる」と強調し、スタートチャンス・プログラムを通じてすべての人に平等な成長の機会を提供する考えを示した。また、クリスティン・シュトライヒェルト=クリヴォット文化大臣兼教育大臣は、「ドイツの教育システムが働く力を身につける土台を築いている」と評価しつつ、教育の公平性と生涯学習の重要性を指摘し、すべての人がその潜在能力を最大限に発揮できるよう支援していく必要があることを述べた。

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チェム・オズデミール連邦教育研究大臣:AIファクトリーがドイツに誕生 – ドイツとヨーロッパにおけるAIインフラの大きな前進 (12月10日)

欧州高性能コンピューティング共同事業(EuroHPC JU)は、シュトゥットガルトのスーパーコンピューターセンターにAIファクトリー「HammerHAI」を設立すると発表した。この施設は、AI(人工知能)の開発に適したスーパーコンピュータのインフラを提供し、研究機関、スタートアップ企業、中小企業、公共機関が高度なAI技術を活用できるよう支援する。チェム・オズデミール連邦教育研究大臣は、「AIファクトリーの設立は、ドイツの技術革新と経済にとって大きな前進だ。この施設はAI技術の導入を加速させ、ヨーロッパ全体の競争力を高めるために強力な計算能力を提供する」と述べた。また、このAIファクトリーによってAIを活用した研究開発を行う企業や研究者とドイツの産業界との連携強化が期待されている。プロジェクトはシュトゥットガルトスーパーコンピューターセンターが主導し、他の研究機関とも協力して運営される。欧州委員会とドイツ政府の支援を受け、総額約8,500万ユーロの予算で進められる。

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2025年ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ賞 (12月10日)

ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、ドイツ最高峰の研究奨励賞である、2025年のゴットフリート・ウィルヘルム・ライプニッツ賞を、4人の女性研究者と6人の男性研究者に授与することを発表した。受賞者にはそれぞれ250万ユーロの賞金が与えられ、最長7年間、研究資金として活用できる。今年の受賞者は、人文・社会科学、生命科学、自然科学、工学といった幅広い分野から選ばれた。過去の受賞者の中には、その後ノーベル賞を受賞した研究者も複数名含まれている。

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DFG、8つの新しい研究ユニットを支援 (12月11日)

ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、新たに8つの研究ユニットを設立し、総額約3,000万ユーロの資金を提供することを決定した。さらに、2つの研究ユニットと1つの臨床研究ユニットの支援期間が延長されることになった。また、D-A-CH協力の枠組みのもと、オーストリアの科学研究促進基金(FWF)やスイス国立科学財団(SNF)と共同でこれらの研究を支援する。研究ユニットは、研究者が重要な課題に取り組むための場を提供し、最長8年間の支援を受けることができる。現在、DFGは199の研究ユニット、12の臨床研究ユニット、さらに人文学や社会科学分野に特化した17の先端科学研究センターを支援している。

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フンボルト財団、支援者たちのライプニッツ賞受賞を祝福(12月11日)

フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung:AvH)は、新たにライプニッツ賞に選ばれた10名の受賞者たちに祝福の言葉を贈った。受賞者の中には、フンボルト財団の支援を受けたハンネス・ライトゲブ氏(数学と哲学)、ヴォルフラム・ペルニツェ氏(光を使った神経網の計算)、ダニエル・リュケルト氏(人工知能と機械学習を用いた医学応用)の3名が含まれる。彼らの研究は数学、物理学、人工知能、持続可能なエネルギーなどの分野で顕著な業績を挙げており、特に革新的な研究が評価されている。ライプニッツ賞は2025年3月19日に授与され、受賞者には250万ユーロの賞金が授与される。

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オズデミール連邦教育研究大臣:景気回復には、より多くの職業訓練修了者と職業教育のさらなる強化が必要 (12月12日)

連邦職業教育研究所(Bundesinstitut für Berufsbildung:BIBB)は、2024年度の職業訓練市場について、全体的に安定を維持しているものの、景気の弱さが見え始めていると報告した。新規の職業訓練契約数は486,711件で、2024年度には0.5%減少した。一方、職業教育の需要は0.8%増加し、職業教育の提供数は1.2%減少した。未充足の職業教育枠数は69,400件、訓練を受けられない応募者は31,200人に上り、労働市場のミスマッチが課題となっている。連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)のチェム・オズデミール大臣は、「職業教育の強化と専門人材の育成が経済回復に不可欠である」と強調し、連邦政府の取り組みをさらに推進していく意向を示した。

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デジタルパクト2.0:ドイツにおける情報教育をさらに前進させる取り組み (12月13日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)と各州文部大臣会議(Kultusministerkonferenz:KMK)は、6年間の「デジタルパクト2.0」を通じて、ドイツの学校教育のデジタル化をさらに推進する計画を発表した。この計画は、学校のデジタルインフラの整備、教員の情報研修、AIをはじめとする革新的な技術を活用した教育の推進を目的としている。連邦政府と州政府が総額50億ユーロを共同負担し、高速Wi-Fi、最新デバイスの導入、学習プラットフォーム整備を進めるほか、教育内容の充実と教員研修の強化を実施する。また、この計画では、すべての生徒に平等な情報教育の機会を提供することを目指している。チェム・オズデミール連邦教育研究大臣は、「情報教育は子どもたちの将来とドイツ経済にとって不可欠である」と述べ、州の教育大臣らも、教育の公平性と質の向上に繋がると本計画を評価した。自治体にも配慮した資金配分が行われ、2025年2月までに具体的な計画が策定される予定である。

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オズデミール連邦教育研究大臣:未来の情報教育を支える革新的なアイデアを推進 (12月16日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)は「学校および社会人教育における情報教育支援コンピテンスセンター」の中間報告書を発表し、情報教育のBMBDの支援の重要性を強調した。このプロジェクトでは、25の研究グループが協力し、各州の教員研修機関と連携して情報教育に関する研修プログラムや教材を開発している。チェム・オズデミール大臣は、「評価の中間結果により、BMBFの支援が教師教育分野で重要な研究と開発を促進したことを確認した。」と述べた。すでに最初の研修プログラムが開始されており、2025年にはさらに拡大する予定だ。また、このプロジェクトは、ドイツ復興・レジリエンス計画(DARP)の一環として進められており、 2023年からプロジェクトの進捗を評価する外部調査が行われており、最終報告書は2026年に発表される予定である。

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オズデミール連邦教育研究大臣:私たちは、マイクロエレクトロニクスの革新を実験室から工場へと移行させている (12月16日)

ドイツ連邦教育研究省(BMBF)は、EUと連邦政府の協力のもと、EUチップ法の一環として、マイクロエレクトロニクス分野における研究を加速するため、7億ユーロ以上を投資している。この一環としてドイツの「マイクロエレクトロニクス研究工場(FMD)」に新たなパイロットライン「APECS」が設置され、次世代のチップ技術を開発することを発表した。連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)のチェム・オズデミール大臣は、「マイクロエレクトロニクス研究の強化は競争力向上に欠かせない」と述べ、特に次世代技術に必要な先進的なパッケージング技術への投資を強調した。これにより、ヘテロ統合やチップレット技術が進展し、ドイツ国内での技術的主権と付加価値の強化が期待されている。

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ドイツの未来のために留学生獲得する:BDA、BDI、HRKの大学・企業合同作業部会による提言 (12月16日)

ドイツ雇用者連盟(Bundesvereinigung der Deutschen Arbeitgeberverbände:BDA)、ド(Bundesverbands der Deutschen Industrie:BDI)、大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz :HRK)の大学/経済ワーキンググループが、新たに提言を発表し、留学生はドイツのイノベーションや競争力を支える重要な存在であり、彼らの学業や就職活動の支援を強化することが必要であると述べた。現在、ドイツには約38万人の留学生が在籍しているが、、留学生の定着率を高め、長期的な就労を促進するために、ビザ手続きの迅速化、多言語対応の学位プログラムの強化、生活支援サービスの充実、そして十分なドイツ語能力の習得支援が重要であると提案している。これらを実現するためには、大学、企業、政府の連携が不可欠であり、企業は、インターンシップやトレーニングプログラムを通じて早い段階から留学生と接点をもち、彼らが持っている能力を経済や社会に活かせるよう支援することが期待されている。

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オズデミール連邦教育研究大臣:反ユダヤ主義には一切の妥協なく立ち向かわなければならない (12月17日)

連連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)は、2021年から反ユダヤ主義研究のための支援を引き続き行い、1,200万ユーロを新たに投じて反ユダヤ主義に関する研究を推進することを発表した。新たな助成指針では、特にイスラエルに関連する反ユダヤ主義やソーシャルメディアの役割に焦点を当てている。チェム・オズデミール大臣は、反ユダヤ主義に立ち向かうことの重要性を強調し、「研究は反ユダヤ主義の原因を深く理解する手助けとなり、集団的憎悪に対する予防や対策に必要な知識を提供すr」」と述べた。新たな資金は2025年末から提供され、基礎研究や応用研究を強化するほか、反ユダヤ主義研究が大学や研究機関に定着し、国際的なネットワークを強化することを目指している。

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オズデミール大臣/レムケ大臣:世界生物多様性評議会が生物多様性および気候危機からの解決策を提示 (12月18日)

世界生物多様性評議会(Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services :IPBES)は、生物多様性の減少、汚染、地球温暖化という危機に対応するため、2つの重要な報告書を発表した。「ネクサス報告書」は、生物多様性、水、食料、健康、気候変動の関係を分析しており、「変革報告書」は、技術、経済、社会における根本的なシステム変革の緊急性等、持続可能で公正な社会を実現するためのシステム変革が必要であることを示した。連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)のチェム・オズデミール連邦教育研究大臣は、「科学技術の革新が気候危機と生物多様性の問題解決に欠かせない」と強調し、持続可能性を目指す研究を進める方針を示した。シュテフィ・レムケ連邦環境大臣は、これらの報告書が示す重要性を強調し、対応のための行動の重要性を訴えた。IPBESは、147カ国が加盟する国際的な政府間組織であり、ドイツは主要な資金提供国として積極的に支援している。

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オズデミール大臣/ボイティウス教授:新しいポーラシュテルン号 – 世界で最も先進的な研究船の一つへの道が開かれる (12月19日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)は、最新鋭の研究砕氷船「ポーラシュテルンII」の建造を始めることを発表した。この船は北極・南極での気候変動のデータ収集や生態系の研究を目的に設計され、2030年に完成する予定だ。この船は、最先端の研究設備を備え、最大110名の乗組員を乗せることができ、従来のポーラシュテルンIよりもさらに高度な調査が可能とする。チェム・オズデミール連邦教育研究大臣は極地および海洋研究における重要な進展を意味し、気候変動の影響を理解し、将来の予測を行うために必要不可欠であると述べた。また、アルフレート・ウェゲナー研究所のアンティエ・ボイティウス所長は、「水中ロボットや無人航空機など、新しい掘削技術を駆使すれば、これまでに取り組めなかった重要な研究ができるようになる」語った。現行のポーラシュテルンIは42年間で約190万海里を航行し、2030年まで運用される予定である。

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