2025年6月

ドイツメンタルヘルスセンターに1億2000万ユーロの支援開始(6月2日)

ドイツ連邦研究・技術・宇宙省(Bundesministeriums für Forschung, Technologie und Raumfahrt :BMFTR)は、「ドイツメンタルヘルスセンター(Deutsche Zentrum für Psychische Gesundheit :DZPG)」の5年間の拡充段階に、全国6か所の研究拠点の研究活動を大幅に強化することを発表した。Dorothee Bär研究・技術・宇宙大臣は、精神疾患は深刻で広く蔓延する国民病であり、依然として研究の必要性は極めて高いと述べた。DZPGの広報担当であるSilvia Schneider教授は、精神の健康には学際的アプローチが不可欠とし、同じく広報担当であるPeter Falkai教授も、連邦政府の継続的な支援は、この複雑な分野の課題に緊急性をもって取り組む必要性を示す明確なメッセージだと強調した。

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米国のビザ停止に対するDAAD会長の声明:「国際的な学術交流の後退」(6月2日)

2025年6月2日、ドイツ学術交流会( Deutsche Akademische Austauschdienst:DAAD)の

Joybrato Mukherjee会長は、米国による留学生および博士課程学生へのビザ発給予約の一時停止について懸念を表明した。停止についてMukherjee氏は、国際的な学術の自由な往来に逆行し、米国の学術拠点としての魅力を損なうものと述べ、教育と研究は国境を越えた開かれた交流によって成り立つため、この措置は国際協力や国内多くの大学の利益に反する科学分野の閉鎖的政策の継続と言えると述べた。一方で、ハーバード大学をはじめとする米国内の大学が法的手段でこの政策に異議を唱えていることに敬意を表した。ドイツは引き続き留学生や研究者に開かれた国であることを明言し、ドイツではDAADやその他の助成機関は優秀な学生に対して幅広い奨学金を提供していると述べた。DAADは今後も加盟大学と協議を行うほか、米国情勢に関する最新情報を提供し、ドイツ国内の学生・研究者向けの情報・相談サービスを拡充する。

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DFG、若手科学者4名に「ヨーロッパ賞」を授与(6月2日)

ドイツ研究振興協会(Deutschen Forschungsgemeinschaft:DFG)は、全国の若手研究者コンテスト「Jugend forscht」で優秀な成績を収めた4人に、「ヨーロッパ賞」を授与した。この賞は、科学分野における国際的なつながりの重要性を強調し、若手の研究者たちが世界の舞台で活躍できるよう支援することを目的としている。受賞者にはそれぞれ1,000ユーロが贈られるほか、DFGが支援する若手研究者によるメンタリングが提供され、9月にラトビア・リガで開催される欧州若手科学者コンテスト(EUCYS)への出場準備を行う。受賞者は、動物園管理を効率化するアプリを開発したバイエルン州のVincent Engelbrecht氏、植物病害の抑制に有効な新種バクテリオファージを発見したヘッセン州のMisha Hegde氏とMia Maurer氏、そして長寿命型イオン推進機のシミュレーション技術を開発したニーダーザクセン州のJohanna Freya Pluschke氏の3組である。

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Erasmus+、ドイツの高等教育機関向け海外モビリティ支援が過去最高額に(6月3日)

EUの国際交流プログラム「Erasmus+」の「個人のモビリティ」枠にて、今後2年間でドイツの高等教育機関向けに過去最大の2億5000万ユーロ(約400億円)用意されることが発表された。資金は主に学生や大学職員の海外留学や研修を支援するために使用される。対象国はEU諸国を含む33の参加国が中心で、最大2割の資金は加盟国以外の派遣にも利用が可能である。今後およそ6万人が海外留学やインターンシップ、研修などを経験できることを見込んでいる。また、「パートナー国とのモビリティ」枠として、3100万ユーロが海外からドイツへの受け入れ支援に充てられ、加えて、約1000万ユーロが国際的な大学間連携プロジェクト「協力パートナーシップ」に分配され、、500万ユーロは留学運営やプログラム目標達成の活動に充てられる。資金の管理と配分はドイツ学術交流会( Deutsche Akademische Austauschdienst:DAAD)が担当し、国際化、包摂性、多様性、持続可能性に関する体制強化が推進される。

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HRK会長のWalter Rosenthal教授、反ユダヤ主義と闘う取り組みの継続を強く訴える(6月4日)

2025年6月4日、ドイツ反ユダヤ主義調査情報センター連盟(Recherche- und Informationsstellen Antisemitismus:RIAS)が「2024年ドイツにおける反ユダヤ主義的事件年次報告書」を発表したことを受け、ドイツ大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz:HRK)のヴァルター・ローゼンタール会長は声明を出した。Walter Rosenthalドイツ大学学長会議会長は、報告書が反ユダヤ主義が依然として国内に広く根付いていることを「痛ましい形で」示しており、反ユダヤ主義と闘う取り組みの継続を強く訴えた。

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アレクサンダー・フォン・フンボルト教授職に4名の世界的研究者が選出(6月5日)

ドイツで最も高額かつ名誉ある国際的な研究賞「アレクサンダー・フォン・フンボルト教授職」に、新たに4名の研究者が選出された。この賞は、最大500万ユーロ(約8億円)の資金支援とドイツにおける最先端の研究に最大限の柔軟性を確保するもので、世界中の優れた科学者をドイツに招き、長期的な研究活動を促進することを目的としている。2026年授与予定の新規受賞者は、エピジェネティクスと合成生物学の分野で世界的に活躍するカロリンスカ研究所(スウェーデン)の Simon Elsässer教授、理論化学における機械学習と人工知能の応用における先駆者であるウォーリック大学(イギリス)のReinhard Maurer教授、持続可能で柔軟なエレクトロニクスを研究するボルツァーノ自由大学(イタリア)のLuisa Petti教授、そして家計財政とインフレーション研究の国際的権威であるシカゴ大学(アメリカ)のMichael Weber教授である。

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DFG、ブラジル、コロンビアとの研究協力を強化(6月10日)

ドイツ研究振興協会(Deutschen Forschungsgemeinschaft:DFG)は、ブラジルとコロンビアの研究機関及び大学との連携をさらに強化する方針を明らかにした。DFGのKatja Becker会長は、現地を訪問しサンパウロ州研究財団(Fundação de Amparo à Pesquisa do Estado de São Paulo:FAPESP)や国立科学技術発展評議会(Conselho Nacional de Desenvolvimento Científico e Tecnológico:CNPq)等、両国の主要なパートナー機関と会談し、長年の信頼関係に基づく協力を一層深化させる方針を確認した。特にFAPESPとは、ドイツの「エクセレンス戦略」に関する情報交換を行い、ブラジルでの類似制度の可能性や、ドイツのエクセレンスクラスターとブラジル研究者の連携強化が議論された。また、コロンビア国立大学(Universidad Nacional de Colombia:UNAL)とハベリアナ大学(Pontificia Universidad Javeriana:PUJ)とは新たな協力協定を締結した。Becker会長は、卓越した研究には研究の質だけでなく、研究の自由が不可欠であることを強調し、世界各地で研究への政治的介入や自由への攻撃が見られる今こそ、学問の自由と民主主義、そして知の力を信じる機関との連携を深めることの決意を示した。

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DFG年次総会、2025年はハンブルクで開催(6月11日)

ドイツ研究振興協会(Deutschen Forschungsgemeinschaft:DFG)は、2025年6月30日から7月2日にかけて、99の加盟組織のうちの1つであるハンブルク大学で年次総会を開催する。年次総会では、DFGの主要機関(会長団、評議会、常任委員会、会員総会)が会合し、会員大学の信任講師会議が行われ、科学政策の最新動向や新たな研究グループ設置などの助成決定が議論される。米国トランプ政権による学問の自由の制限や、国内外での科学の自由への脅威が主要テーマとなる。6月30日には、ベルリン・フンボルト大学のPetra Anders教授が、初等教育における読解・言語能力向上のための優れた科学広報活動が評価され、「コミュニケーター賞」(DFGとStifterverband共催、賞金5万ユーロ)を受賞。授賞式はオペルンロフト(旧アルトナ・フェリーターミナル)で行われ、Becker会長とStifterverband事務総長Volker Meyer-Guckel氏が授与、DFG副会長Johannes Grave教授が祝辞を述べる予定。

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DFG、18の新しい大学院研究プログラムを助成(6月16日)

ドイツ研究振興協会(Deutschen Forschungsgemeinschaft:DFG)は、若手研究者の育成を目的として、新たに18の大学院研究プログラム(Graduiertenkollegs:GRK)を設置する。これはDFGの審査委員会により承認されたもので、2026年春から5年間、約1億3000万ユーロ(約210億円)が助成される。新たに採択された研究テーマは多岐にわたり、環境配慮型の鉄鋼開発、デジタル時代における物語体験、感染症モデルの解明などがある。新たな連携先として、米国、イタリア、カナダ、フランスとの4つの国際大学院研究プログラム(Internationale Graduiertenkollegs:IGK)も含まれている。また、既存の10の大学院研究プログラムについては、次の助成期間への延長が承認された。大学院研究プログラムは、博士課程の学生に対し、体系的な研究・教育プログラムを通じて専門的なスキルを高める機会を提供する制度であり、DFGは全体で214件のGRKを支援している。そのうちの29件はIGKとなっている。

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BMFTR、DDR関連の研究強化を支援(6月17日)

ドイツ連邦研究・技術・宇宙省(Bundesministeriums für Forschung, Technologie und Raumfahrt :BMFTR)は、2026年から最大1,200万ユーロ(約20億円)を拠出し、国内大学におけるDDR(ドイツ民主共和国/旧東ドイツ)関連研究分野の強化を支援すると発表した。この新たな助成制度では、最大5年間にわたるプロジェクト支援が可能となる。ドイツ統一から30年以上が経過した現在も、DDRとSED(ドイツ社会主義統一党)による体制下での不正の検証は、ドイツ社会にとって重要な課題であり続けている。Dorothee Bär研究・技術・宇宙大臣は、DDRの歴史や体制転換期の理解は、自由で民主的な社会であるという自己意識を強めるものとし、特に人文・社会・文化科学は、民主主義のレジリエンスを高める上で欠かせない役割を担っていると述べた。

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DAAD総会にて新しい学生理事及び学生評議員を選出(6月24日)

ドイツ学術交流会(Deutsche Akademische Austauschdienst:DAAD)は、ボンでの総会において、新たに4名の学生理事と3名の学生評議員を選出した。学生理事には、オルデンブルク大学、ボン大学、エアランゲン=ニュルンベルク大学、ハイデルベルク大学から学生が選ばれ、また、学生評議員には、ブラウンシュヴァイク工科大学、ヴュルツブルク大学、ドレスデン工科大学から選出された。評議会は理事会に助言し、会長・副会長・理事候補を推薦する役割を担う。任期は理事と評議員ともに2026年1月1日から2年間である。さらに、加盟大学代表として理事会の補欠選挙が行われ、ケルン応用科学大学学長Sylvia Heuchemer教授が新たに選出された。任期は2025年6月24日から2027年12月31日までとなり、ドイツ大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz:HRK)の副会長に就任したAngela Ittel教授の後任となる。

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DAAD、Erasmus+予算の大幅増額を要請(6月24日)

ドイツ学術交流会(Deutsche Akademische Austauschdienst:DAAD)の加盟大学と学生団体は、ボンで開かれた総会で、ドイツの大学の国際化において、Erasmus+プログラムは極めて重要であると強調し、2028年以降のプログラム予算の大幅増額を求めた。2028年から2034年のプログラム期間中に、EU全体で少なくとも600億ユーロ、うち200億ユーロを高等教育分野に充てるべきと提案した。DAADのJoybrato Mukherjee会長は、Erasmus+は欧州の結束と共通のアイデンティティを象徴するプログラムで、地政学的な緊張やEU内の分断傾向が強まるが高まる中で、若者にとって重要な安定要因になると述べた。現在のプログラム期間(2021〜2027年)では予算が増加となっているが、2028年以降さらに予算を大幅に増やさなければ、留学やプロジェクト数が大幅に減少し、ドイツの大学では支援できる留学生数が予定の7万人から5万人に減る恐れがあると危惧されている。

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AvH、2025年年次総会を開催(6月26日)

アレクサンダー・フォン・フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung:AvH)の年次総会が、「AvH Research Unites」をテーマに、6月25日から26日にかけてベルリンで開催され、ドイツ国内の奨学生とその家族、世界60か国から約450人が参加した。レセプションでは、Frank-Walter Steinmeier連邦大統領が出席者を歓迎し、真理・理性・民主主義の関係について演説し、啓蒙思想や学問・政治の自由が各地で脅かされている現状に警鐘を鳴らした。卓越した研究と日独の学術交流への貢献を評価され、日本の化学者である金沢大学の平野圭一教授に、「2025年度フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト賞」が授与された。

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HRKの教育プロジェクト「MODUS」が終了(6月26日)

ドイツ大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz:HRK)は、5年間続いた教育プロジェクト「Mobilität und Durchlässigkeit stärken:MODUS」の2025年6月末での終了を発表した。このプロジェクトは、他大学や他学部で取得した単位、あるいは大学外で得た職業的スキルや知識を、所属大学の単位認定に活かすための制度整備を支援してきたもので、目的は、国内外の学生の流動性を高め、生涯学習や柔軟性のある学習経路を促進させ、教育システム全体の柔軟性を向上させることである。HRK副会長のUlrich Bartosch教授は、「認定と換算は多様な前提資格や能力を“形”にし、可視化するもの。特に社会人経験者、国際学生、留学や専攻変更を行う学生にとって、教育の柔軟な移行を可能にする鍵だ」と説明、また、Walter Rosenthal会長は、MODUSは他の教育機関や学習環境で得た知識・スキルを、学術的な質を保ったまま正当に評価する仕組みの確立に貢献したと評価した。

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独と加による「Eureka」共同議長任期が6月30日を以て終了(6月30日)

ドイツとカナダが共同で担ってきた世界最大級の公的研究・開発支援ネットワーク「Eureka」の議長任期が6月30日を以て終了した。2024年7月からの1年間、ドイツ連邦研究・技術・宇宙省(Bundesministeriums für Forschung, Technologie und Raumfahrt:BMFTR)とカナダ国立研究機構(National Research Council Canada:NRC)は、40年の歴史で初めて2カ国による共同議長となり、循環型価値創造に関する新たな助成イニシアティブを立ち上げ、欧州、北米、南米、アジアの17カ国が参加した。Dorothee Bär研究・技術・宇宙大臣は、越境イノベーションと資源効率型経済における節目であり、地政学的に困難な時代において国際協力を促す重要な一歩だと述べた。カナダのMélanie Joly産業大臣も、両国が価値観を共有するパートナーとして具体的成果と新たな機会を生み出したと強調した。

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