2025年1月

DFG、X(旧Twitter)から撤退(1月14日)

ドイツ研究振興協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は、科学の自由と事実に基づく研究を守るため、ソーシャルメディアのプラットフォームX(旧Twitter)から撤退することを発表した。カーチャ・ベッカー会長は、「Xでは科学よりも政治的発言が目立つようになったため、撤退を決定した」と説明した。DFGは、フェイクニュースの拡散やSNSの政治利用に反対する姿勢を示し、今後はBlueskyやLinkedInなどの別のプラットフォームでの発信を強化する方針を決定した。

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オズデミール大臣/フェーザー大臣、家族の人口動態に関する研究プロジェクト「FReDA」の恒久化を発表(1月14日)

連邦人口調査研究所(Bundesinstitut für Bevölkerungsforschung:BiB)のデータインフラプロジェクト「Family Research and Demographic Analysis:FReDA(家族研究と人口動態分析)」が、2025年から恒常的に運用されることになった。このプロジェクトは、若年層や中年層の家族に関する生活状況や満足感、価値観のデータを収集し、研究基盤を強化することを目的としている。連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)のチェム・オズデミール連邦教育研究大臣は、「FReDAは、人口動態や家族計画の研究に不可欠なデータを提供する」と評価し、ナンシー・フェーザー連邦内務・国土大臣も、「FReDAが家族支援や社会的連帯の強化に貢献する」と述べた。このプロジェクトでは、18~55歳の参加者を対象に年2回調査を行い、生活や家族観に関する詳細なデータを収集している。また、国際的なパートナーとも連携し、他国との比較研究も進めている。

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ドイツの未来のために高等教育を強化 – ドイツ学長会議(HRK)、次期連邦政府に向けた提言(1月15日)

2025年2月23日の連邦議会選挙を前に、大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz :HRK)は次期連邦政府が優先的に取り組むべき高等教育政策の4つの課題を発表した。
HRKは、官僚的手続きの簡素化、省庁をまたぐ研究・イノベーション資金の確保、連邦教育支援法(BAföG)の抜本的改革や学生住宅支援の強化、老朽化した大学施設や教育・研究インフラの改修・近代化のための重点的な資金支援を求めている。HRKのウォルター・ローゼンタール会長は、「次期連邦政府の政策において、教育と研究が中心的な役割を果たすべきだ」と強調し、大学は、経済成長や科学技術の発展だけでなく、国際協力、文化、社会の結束、自由民主主義の強化にも貢献しおり、持続可能な社会を実現するためには、大学の教育・研究活動と社会への貢献をさらに強化することが不可欠だと指摘した。

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BMBF、バッテリー研究を資金支援 (1月21日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)は、最大2500万ユーロをバッテリー研究に投入することを決定した。この資金は、気候・変革基金(Klima- und Transformationsfonds:KTF)の打ち切りによる財源不足を補い、研究の継続を支援することを目的としている。チェム・オズデミール連邦教育研究大臣は、「バッテリー技術は、未来の技術競争やエネルギー転換の鍵となる重要分野であり、ドイツが技術大国としての地位を維持するために欠かせない」と強調した。また、緊急性の高い研究プロジェクトを支援し、新政権に引き継ぐべき基盤を整える考えを示した。これまでBMBFは、電池研究の資金をKTFに依存してきたが、2023年の決定により、新規プロジェクトへの資金供給が途絶える見通しとなっていた。

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ドイツの大学システムを未来に向けて強化するために (1月23日)

大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz :HRK)とドイツ学生支援協会(Deutsches Studierendenwerk:DSW)は、次期連邦政府に対し、高等教育政策の優先課題を共同提言した。HRKのウォルター・ローゼンタール会長は、大学が社会の繁栄と民主主義の基盤であることを強調し、DSWのベアテ・シュッキング会長は、学生が家賃や物価高の影響で厳しい状況にあることを指摘し、家賃補助の拡充、連邦教育支援法(BAföG)の改革、環境に配慮したキャンパス施設の整備の必要性を訴えた。

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「国家賞–持続可能な開発のための教育」 2025年受賞者決定 (1月24日)

2025年1月24日、連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)とドイツユネスコ委員会は、「国家賞-持続可能な開発のための教育 国家賞」の受賞者を発表した。この賞は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて教育を通じて貢献するプロジェクトを表彰するもので、受賞者には学校、団体、地域などが含まれる。授賞式は2025年5月22日にベルリンで行われる。発表に際して、チェム・オズデミール連邦教育研究大臣は、持続可能な未来を築く教育の重要性を強調し、ドイツユネスコ委員会のマリア・ビューマー会長は、教育を通じて社会を変革し、持続可能な未来を実現することの重要性を指摘した。

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BMBFが新たな技術支援プログラム「FITS2030」を発表 (1月24日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)は、新たに「2030年までの技術的自立のための研究と革新(Forschung und Innovation für Technologische Souveränität 2030:FITS2030)」プログラムを発表した。このプログラムは、ドイツがデジタルおよび産業の重要技術の開発を包括的に支援し、国際的な競争力を強化するとともに、技術的自立を目指すもので、AIや量子技術などの8つのデジタル技術と4つの産業技術に関する目標を2030年までに達成することを目指している。BMBFのカール・ユージン・フートマッハー事務次官は、ドイツは研究分野で世界トップクラスだが、実用化への移行を改善する必要があることを指摘した。

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BMBF、大学における反ユダヤ主義対策ネットワークを支援 (1月27日)

連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)は、大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz :HRK)が進める「大学における反ユダヤ主義対策ネットワーク」を、今後3年間にわたり支援する。このネットワークは、大学における反ユダヤ主義対策を強化し、関係者の専門性向上や連携を促進することを目的としている。BMBFのチェム・オズデミール連邦教育研究大臣は、反ユダヤ主義と戦うことは社会全体の課題であり、大学の取り組みを全面的に支持すると強調した。HRKのウォルター・ローゼンタール会長も、大学が反ユダヤ主義を排除し、ユダヤ人の学生や研究者を守ることの重要性を指摘した。

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HRK:私たちはホロコーストを忘れない(1月28日)

国際ホロコースト記念日は、あらゆる形の反ユダヤ主義に立ち向かう重要性を改めて考える日である。2025年1月27日は、アウシュビッツ強制収容所が解放されてから80年の節目にあたる。大学学長会議(Hochschulrektorenkonferenz :HRK)は、ナチスによる犯罪の犠牲者を追悼し、その記憶を刻むことの重要性を訴えている。当時、多くの大学関係者は、ナチス政権による不正を学問的に正当化し、それを法的に支える役割を果たし、ユダヤ人の学生・教員・研究者・職員を大学から排除することで、この体制を支えた歴史がある。この過去を忘れず、大学は民主主義、法の支配、人道主義、そして開かれた社会を守る特別な使命を担っている。

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ミューラー連邦教育研究省事務次官:SPRINDは成功事業‐初の評価報告書発表(1月29日)

2019年に設立され、革新的なアイデアを発掘し支援することを目的に活動している飛躍的イノベーション機構(Die Bundesagentur für Sprunginnovation :SPRIND) の初の評価結果が発表された。この評価は、2023年から2024年にかけて行われ、SPRINDにより、柔軟かつ迅速な支援体制を確立し、ドイツの研究支援システムにおいて重要な役割を果たしていることが明らかになった。SPRINDを通じて現在12以上の子会社が推進されており、起業家の重要な支援機関となっている。2023年末には支援体制を強化するための新たな法制度が施行されている。

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ミューラー連邦教育研究省事務次官:若手研究者には最良の環境と確かな展望が必要 (1月30日)

「キャリア初期の研究者に関する連邦報告書(Bundesbericht Wissenschaftlerinnen und Wissenschaftler in einer frühen Karrierephase :BuWiK)2025」が発表され、ドイツの若手研究者の現状についてのデータがまとめられた。連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung : BMBF)のクラウディア・ミューラー事務次官は、「テニュアトラック教授職が新たなキャリアパスとして定着し、若手研究者にとって魅力的な選択肢が増えている」と評価する一方で、契約の期限、機会の平等、多様性の促進といった課題には改善の余地があることを指摘した。

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ドイツ・イスラエル科学研究開発財団の新理事長が就任 (1月31日)

ドイツ・イスラエル科学研究開発財団(German Israel Foundation:GIF)は、2025年2月1日付でヴェレナ・シファーマン氏が新理事長に就任すると発表した。GIFの理事会は満場一致で彼女を選出し、同財団のトップにドイツ人官僚及び女性が就任するのは今回が初めてとなる。シファーマン氏は、2020年から理事長を務めたエリック・ジマーマン博士の後任となる。GIFは1986年の設立以来、ドイツとイスラエルの科学協力を推進しており、両国政府から計2億400万ユーロの基金が提供されている。これまでに2,000件以上の共同研究プロジェクトを支援し、16名のノーベル賞受賞者が関わる成果を生み出してきた。

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